2007年9月2日開始。いつまで続けられるかな?
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鉄輪の中心部で車を停めて、雪の中を歩き出した。
確かにこの角に見覚えがあるような気がする。
たぶん、いやきっと、この近くに、Kちゃんの両親が営んでいるお店があるはずだ。
あっちを曲がり、こっちへ戻って別の道に入り、何本かの道を行ったり来たりしているうちに、記憶に導かれて吸い込まれるように進んだ路地の先、ある店の看板に目が止まった。
古い、看板。小さな食堂。
その屋号を見た途端、思い出した。
そう、この屋号だった。Kちゃんちのお店。
間違いない。はっきり思い出した、この店の姿。
とうとう見つけた。
いや、心の何処かで、見つかるはずだと信じていた。
けれど。
Kちゃんは。Kちゃんの消息はまだわからない。
緊張しながら、ついに見つけたお店のドアを開けた。
「すみません。こちらはMさんのお店でしょうか」
奥に、50代くらいに見える女性が一人いた。
驚いた顔をしてゆっくりと戸口の処へきて
「Kちゃんの友達?」と言った。
ああ、やっぱり、ここで間違いなかった。ここだった。
この人はKちゃんのお母さんではない、ということは口ぶりから察した。
たぶん、この店の従業員さんだろうか。でも相手からKちゃんの名前がでたので安心した。
…Kちゃんを探して、20年ぶりに来たことを話した。
そして、聞くのが怖くて仕方のない質問を勇気を振り絞って、口にした。
「それであの、Kちゃんは、今もお元気ですか」
女性は、首を傾けてちょっと視線を泳がせた。
「ああ、Kちゃんね。私もずいぶん見てないけど。奥さんに電話してあげようかね」
視線をこちらに戻しながら、電話を取り上げるしぐさをする。
「奥さん?」
「Kちゃんのお母さんよ。Mさんはもうこのお店やってないんだよ。だいぶ前に辞めてね。あたしが引き継いでやらせてもらってるんだよ」
ああ、やっぱりそうなのか。Kちゃんのご両親にも長い時があった。仕事をやめて、引退しているのも当然だ。
女性は、電話を取り出して、Mさんのお宅に電話してくれた。
しばらくひとしきり話して、切った。
「Kちゃんね、いま入院しとるって。国立病院。」
ああ…生きててくれたんだ。Kちゃんは生きてる。
緊張の力が抜けて、体の奥が暖かくなるのを感じた。
病院の場所を聞くと、たくさんお礼を言って、そのお店を後にした。
「ママ、見つかったのね」
娘が私の顔をのぞき込んで言う。娘の目に映る私の表情はどんな風なんだろう。
「うん。すごいね。とうとう見つかったよ。ごめん、お腹減ってるでしょ、でも先にKちゃんの処にお見舞いにいくからね。その後ご飯にしよう」
「うん。いいよ」
娘は珍しく神妙な顔で、素直についてきてくれた。
Kちゃんの病室に着くと、彼女はベッドに腰かけて夜の薬を飲んでいる処だった。
なんて声を掛けたらいいんだろう、こういう時。
でも、考え終らないうちに、自然とKちゃんに歩み寄って言葉が勝手にでてしまった。
「Kちゃん、私、覚えてる?」
彼女はきょとんとして私の顔を見つめ10秒ほどしてからうなづいた。
「覚えてるよ。覚えてる。Yちゃんだ…! え?? なんで?どうしてここにおるん?」
彼女は心底驚いた様子だった。
「突然でごめんね。びっくりしたよね。でもやっとKちゃんに会えたなあ。嬉しい。」
彼女の手を取ると、何故だかとたんに、涙が止まらなくなった。
暖かい手。生きててくれた。
私の古い友人は、過酷な人生を耐え抜いて、生きていてくれたのだ。
涙がとまるまでしばらくかかった。
確かにこの角に見覚えがあるような気がする。
たぶん、いやきっと、この近くに、Kちゃんの両親が営んでいるお店があるはずだ。
あっちを曲がり、こっちへ戻って別の道に入り、何本かの道を行ったり来たりしているうちに、記憶に導かれて吸い込まれるように進んだ路地の先、ある店の看板に目が止まった。
古い、看板。小さな食堂。
その屋号を見た途端、思い出した。
そう、この屋号だった。Kちゃんちのお店。
間違いない。はっきり思い出した、この店の姿。
とうとう見つけた。
いや、心の何処かで、見つかるはずだと信じていた。
けれど。
Kちゃんは。Kちゃんの消息はまだわからない。
緊張しながら、ついに見つけたお店のドアを開けた。
「すみません。こちらはMさんのお店でしょうか」
奥に、50代くらいに見える女性が一人いた。
驚いた顔をしてゆっくりと戸口の処へきて
「Kちゃんの友達?」と言った。
ああ、やっぱり、ここで間違いなかった。ここだった。
この人はKちゃんのお母さんではない、ということは口ぶりから察した。
たぶん、この店の従業員さんだろうか。でも相手からKちゃんの名前がでたので安心した。
…Kちゃんを探して、20年ぶりに来たことを話した。
そして、聞くのが怖くて仕方のない質問を勇気を振り絞って、口にした。
「それであの、Kちゃんは、今もお元気ですか」
女性は、首を傾けてちょっと視線を泳がせた。
「ああ、Kちゃんね。私もずいぶん見てないけど。奥さんに電話してあげようかね」
視線をこちらに戻しながら、電話を取り上げるしぐさをする。
「奥さん?」
「Kちゃんのお母さんよ。Mさんはもうこのお店やってないんだよ。だいぶ前に辞めてね。あたしが引き継いでやらせてもらってるんだよ」
ああ、やっぱりそうなのか。Kちゃんのご両親にも長い時があった。仕事をやめて、引退しているのも当然だ。
女性は、電話を取り出して、Mさんのお宅に電話してくれた。
しばらくひとしきり話して、切った。
「Kちゃんね、いま入院しとるって。国立病院。」
ああ…生きててくれたんだ。Kちゃんは生きてる。
緊張の力が抜けて、体の奥が暖かくなるのを感じた。
病院の場所を聞くと、たくさんお礼を言って、そのお店を後にした。
「ママ、見つかったのね」
娘が私の顔をのぞき込んで言う。娘の目に映る私の表情はどんな風なんだろう。
「うん。すごいね。とうとう見つかったよ。ごめん、お腹減ってるでしょ、でも先にKちゃんの処にお見舞いにいくからね。その後ご飯にしよう」
「うん。いいよ」
娘は珍しく神妙な顔で、素直についてきてくれた。
Kちゃんの病室に着くと、彼女はベッドに腰かけて夜の薬を飲んでいる処だった。
なんて声を掛けたらいいんだろう、こういう時。
でも、考え終らないうちに、自然とKちゃんに歩み寄って言葉が勝手にでてしまった。
「Kちゃん、私、覚えてる?」
彼女はきょとんとして私の顔を見つめ10秒ほどしてからうなづいた。
「覚えてるよ。覚えてる。Yちゃんだ…! え?? なんで?どうしてここにおるん?」
彼女は心底驚いた様子だった。
「突然でごめんね。びっくりしたよね。でもやっとKちゃんに会えたなあ。嬉しい。」
彼女の手を取ると、何故だかとたんに、涙が止まらなくなった。
暖かい手。生きててくれた。
私の古い友人は、過酷な人生を耐え抜いて、生きていてくれたのだ。
涙がとまるまでしばらくかかった。
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