2007年9月2日開始。いつまで続けられるかな?
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自分の人生にありったけの勇気をもって立ち向かったクライエントの事を記録しておきたい。
丸一日スケジュールが埋まっている、と思ったら関東からのクライエントのブリーフセラピー(短期集中療法)が入っていた。
私は自分の仕事のスケジュール管理をすべて坂本に任せているのでほとんど前日まで予定を知らない。ずぼらだからでも偉ぶっているからでもなく、秘書である坂本にスケジュールを任せることで仕事に向きあう意欲や能力が均一に高いレベルで維持されるのである。講演など特別な準備が必要なことを除き、当日の事だけに全力を注ぐ。それが私の仕事の質の管理に役立つ。
飛行機でわざわざここまで来てまた飛行機で帰って行くクライエントには、それだけの価値を提供出来ていますように、と願う。私にとってクライエントがどこから来ているかはほとんど重要ではないけれど、クライエントの方はそうではないだろう。わざわざ遠くへお金も時間も余分にかけて行くからには、それだけの効果を期待し、それが期待通りに与えられる事を信頼しているからこそ来てくれるのだろう。
そのような信頼を裏切るような事だけはしてはいけないという神聖な気持ちになる。
近いから気合いが足りないという事はないけれど、やはり遠くからくるクライエントの自分への向きあい方の真剣さはものすごいものを感じる。問題の深さも、今現在の困難さも大きい。
こういうクライエントはほぼ例外なく、子ども時代に苛酷な経験をしている。その人がどれほど孤独に生きていたか、子ども時代にどれほど苦しんだのか、その痛みを感じては涙が溢れてくる。クライエントの前で本人より大げさに泣く訳にも行かないので表現しないが、心の中では突っ伏して泣きたいほどのその人の痛みを味わっている。
子ども時代、親の言う事に従うことだけが安全を保障される事だった。命令のない時に自分で感じたり、考えたりすると「余計なことをするな」「お前は指示された時にすぐ動けるように、いつでも待機していろ」と教えられ、それを完全に受け入れたクライエントも大人になった今では、社会から「自分で考えろ」「少しは言われた以上の事をしようと思わないのか」「その年で指示待ちではもう通用しない。辞めてもらうよ」と追いつめられている。
黙って、命令された通りにすればよかったはずだった。命令がない時には待機モードで、自分の楽しみもなにもなくただ突っ立って待っていればそれが「自分の存在のしかたの正解」のはずだった。期待していたのは「こうしていればいつか、大人たちが自分を守ってくれる。褒めてくれる」という事。だがそんなクライエントが、数十年も待ち続けてきた「そうしていれば認められ保護されること」など二度と叶わないと思い知る瞬間。
私はその瞬間に立ち会う。
「自分の人生をここまでわかってくれる大人はどこにも居ない」という事実を受け入れることは、子ども時代との完全な決別を意味する。それがどんなに苦しいことか、私にも覚えがある。
ここまでの人生の全てをかけて犠牲にした報酬が得られないと思い知る瞬間。
それは絶望と怒りに変わる。裏切られたと感じる。
クライエントは頭を抱え、ある人は涙に暮れ、突っ伏して泣く。
泣くことすらできないほど自分を硬く守っている人もいる。
しかし一滴の涙も流さないその氷のような表情の奥に、血を吐くような絶叫があることを私は感じる。
無表情のクライエントに駆け寄り、抱きしめて支える。
それでもクライエントは私にすがることすら出来ず立ち尽くす。
どうしていいかわからない。どうしていいかわからない。
その心の声が伝わってくる。もし一滴でも涙を流せば心が壊れてしまう。
だから凍りつき、立ち尽くしている。
真っ暗な中にいる、とクライエントは言う。
こんなに真っ暗なのに、どっちへ進めばいい?、とつぶやく。
光をみつけて、と私は応じる。
光のある方へ、暖かさのある方へ、あなたの感覚の全てを駆使してそれを探して進め、と私は告げる。
夜明けの方へ進みたい、とクライエントがつぶやく。
では東を目指して歩き続けて、と私は応える。
明けない夜はないと頭で分かっていても、真っ暗闇の中をたった一人で歩くのはどんなに心細いだろう。だから私は、暗やみの中のクライエントにたいまつを用意する。地図を与える。暖かい飲み物の入った水筒を。その人の代りに進む方向を決断することは出来ないけれど与えられるものは何でも与える。諦めないで。どうか人生を諦めないで。
この人の苦しみを知っているのはこの世界で、今この瞬間は私だけだ。
それがわかっているから 私はこの仕事を簡単に辞める訳にはいかない。
丸一日スケジュールが埋まっている、と思ったら関東からのクライエントのブリーフセラピー(短期集中療法)が入っていた。
私は自分の仕事のスケジュール管理をすべて坂本に任せているのでほとんど前日まで予定を知らない。ずぼらだからでも偉ぶっているからでもなく、秘書である坂本にスケジュールを任せることで仕事に向きあう意欲や能力が均一に高いレベルで維持されるのである。講演など特別な準備が必要なことを除き、当日の事だけに全力を注ぐ。それが私の仕事の質の管理に役立つ。
飛行機でわざわざここまで来てまた飛行機で帰って行くクライエントには、それだけの価値を提供出来ていますように、と願う。私にとってクライエントがどこから来ているかはほとんど重要ではないけれど、クライエントの方はそうではないだろう。わざわざ遠くへお金も時間も余分にかけて行くからには、それだけの効果を期待し、それが期待通りに与えられる事を信頼しているからこそ来てくれるのだろう。
そのような信頼を裏切るような事だけはしてはいけないという神聖な気持ちになる。
近いから気合いが足りないという事はないけれど、やはり遠くからくるクライエントの自分への向きあい方の真剣さはものすごいものを感じる。問題の深さも、今現在の困難さも大きい。
こういうクライエントはほぼ例外なく、子ども時代に苛酷な経験をしている。その人がどれほど孤独に生きていたか、子ども時代にどれほど苦しんだのか、その痛みを感じては涙が溢れてくる。クライエントの前で本人より大げさに泣く訳にも行かないので表現しないが、心の中では突っ伏して泣きたいほどのその人の痛みを味わっている。
子ども時代、親の言う事に従うことだけが安全を保障される事だった。命令のない時に自分で感じたり、考えたりすると「余計なことをするな」「お前は指示された時にすぐ動けるように、いつでも待機していろ」と教えられ、それを完全に受け入れたクライエントも大人になった今では、社会から「自分で考えろ」「少しは言われた以上の事をしようと思わないのか」「その年で指示待ちではもう通用しない。辞めてもらうよ」と追いつめられている。
黙って、命令された通りにすればよかったはずだった。命令がない時には待機モードで、自分の楽しみもなにもなくただ突っ立って待っていればそれが「自分の存在のしかたの正解」のはずだった。期待していたのは「こうしていればいつか、大人たちが自分を守ってくれる。褒めてくれる」という事。だがそんなクライエントが、数十年も待ち続けてきた「そうしていれば認められ保護されること」など二度と叶わないと思い知る瞬間。
私はその瞬間に立ち会う。
「自分の人生をここまでわかってくれる大人はどこにも居ない」という事実を受け入れることは、子ども時代との完全な決別を意味する。それがどんなに苦しいことか、私にも覚えがある。
ここまでの人生の全てをかけて犠牲にした報酬が得られないと思い知る瞬間。
それは絶望と怒りに変わる。裏切られたと感じる。
クライエントは頭を抱え、ある人は涙に暮れ、突っ伏して泣く。
泣くことすらできないほど自分を硬く守っている人もいる。
しかし一滴の涙も流さないその氷のような表情の奥に、血を吐くような絶叫があることを私は感じる。
無表情のクライエントに駆け寄り、抱きしめて支える。
それでもクライエントは私にすがることすら出来ず立ち尽くす。
どうしていいかわからない。どうしていいかわからない。
その心の声が伝わってくる。もし一滴でも涙を流せば心が壊れてしまう。
だから凍りつき、立ち尽くしている。
真っ暗な中にいる、とクライエントは言う。
こんなに真っ暗なのに、どっちへ進めばいい?、とつぶやく。
光をみつけて、と私は応じる。
光のある方へ、暖かさのある方へ、あなたの感覚の全てを駆使してそれを探して進め、と私は告げる。
夜明けの方へ進みたい、とクライエントがつぶやく。
では東を目指して歩き続けて、と私は応える。
明けない夜はないと頭で分かっていても、真っ暗闇の中をたった一人で歩くのはどんなに心細いだろう。だから私は、暗やみの中のクライエントにたいまつを用意する。地図を与える。暖かい飲み物の入った水筒を。その人の代りに進む方向を決断することは出来ないけれど与えられるものは何でも与える。諦めないで。どうか人生を諦めないで。
この人の苦しみを知っているのはこの世界で、今この瞬間は私だけだ。
それがわかっているから 私はこの仕事を簡単に辞める訳にはいかない。
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